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2012年5月18日金曜日

まとめ:高血圧患者


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基礎知識
・ほとんどは本態性だが、腎性高血圧やクッシング症候群、褐色細胞種、妊娠高血圧症候群などの原因もある。
未治療の高血圧があると、麻酔中の血圧が不安定になる。
・左室肥大を生じている場合には、脳卒中、心筋梗塞などを起こしやすい。
・拡張期圧が110mmHgを超えているような場合は、予定手術で緊急性がない場合は、内科的な精査とコントロールを行なってからのほうがよい。
・β遮断薬の突然の中止は、反跳性高血圧を起こすことがある。

術前チェックポイント
・高血圧の原因
治療の状況(内服薬とコントロール良好かどうか)
・他の臓器合併症の有無(心肥大や腎機能障害など)
他の合併症(糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患の有無)。

□術前内服薬
・降圧薬は基本的に手術当日朝まで内服継続
・術後はβ遮断薬をはじめ、できるだけ早期に再開。
・利尿薬は意見がわかれるが、教科書的には中止(尿量の修飾と、循環血液量減少、電解質異常のため)
 

高血圧により増大するリスク心筋虚血、心筋梗塞
(うっ血性)心不全、左室肥大
・心房細動
・腎機能不全
・術中出血
・高血圧性脳症 など

麻酔管理
不十分な治療や未治療では、血圧変動が大きくなる。
昇圧薬への反応は、過敏な場合もあるし、降圧薬などの影響で鈍い場合もある。
血管拡張薬の不用意な使用は高度の血圧低下を来すこともある。
・十分な輸液を行うことで循環変動を抑えられることもある。
・高血圧患者では、圧受容体反射抑制のために、血圧低下による心拍数増加がみられないことがある。さらに最近はレミフェンタニルの使用により抑制される。
・降圧薬は効果発現が早く、短時間作用性のものがよい。頻用される降圧薬としては、ニトログリセリンやニトロプルシドの亜硝酸薬、ニカルジピンやジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬、PGE1製剤などがある。
・必要であれば、上記の薬物を術後も持続静注で使用する。

□臓器の自己調節能について
・脳や腎臓、心臓には血流量の自己調節能があり、その範囲内では臓器血流量は一定に保たれる。
冠動脈は平均血圧60〜130mmHg、腎臓は80〜180mmHg、脳は70〜150mmHgの間で血流量が一定に保たれ、それ以下、あるいは以上では血圧に依存し、直線的に変化する。血圧変動から自己調節まではタイムラグが3〜4分あり、それまでは血流量は血圧変動に比例して変化する。
・慢性高血圧患者では、上記の範囲が血圧の高い方にシフトしているため、通常では臓器血流が低下しない圧でも低下するため注意が必要。降圧療法により自己調節範囲はもとに戻るらしい。



□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p6,12
2)患者術前評価・管理の手引き p67
3)麻酔への知的アプローチ p42-53
4)麻酔科シークレット第2版 p205-207
5)麻酔科トラブルシューティングAtoZ p54-55


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