さらりーまん麻酔科医の専門医試験対策ページです。これからもよりよい対策資料を作っていきたいと思っています。 何かご相談などあればいつでもメールください。 ※ブログ引っ越しました。
2012年5月22日火曜日
まとめ:熱傷患者①総論
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□皮膚の役割
・体温調節 ⇒熱喪失(低体温)
・体液、電解質の維持 ⇒ 体液喪失、タンパク質喪失、電解質異常
・感染防御 ⇒ 感染、免疫抑制
□熱傷の全身への影響
●循環への影響
・急性期には体液喪失による循環血液量減少。ショックを呈する。
・亜急性期には血管透過性の改善や浮腫からの再吸収により循環血液量は増加、心不全のリスクが上昇する。
●呼吸への影響
・血管透過性亢進、低蛋白血症による肺水腫が生じる(亜急性期には循環血液量増加によっても生じる)
・最も恐ろしいのは気道熱傷による気道浮腫。
・胸部の広範囲熱傷では拘束性換気障害を生じる。
・その他(CO中毒や肺炎、ARDS)
●腎機能への影響
・循環血液量減少、ショックによる低血圧により腎血流量と糸球体濾過率(GFR)は減少する。
・腎不全の発生率は重症度によりさまざま。発症すると死亡率は非常に高い。
・ヘモグロビン尿(溶血)やミオグロビン尿(筋肉壊死)により、急性尿細管壊死や急性腎不全が起こる。
●その他
・消化性潰瘍(Curling潰瘍)や腸閉塞、肝機能障害など
・免疫能低下と感染症(局所の感染、敗血症も)
・低栄養状態
・貧血、血小板減少、DIC発症 など
□熱傷の範囲の推定Lund-Browder法など
・9の法則(成人の場合)
頭部、上肢それぞれ9%、体幹の前と後ろ、左右の下肢はそれぞれ18%
・5の法則(小児の場合)
頭部は15%、両上肢は10%、両下肢は15%、体幹前面が20%、後面が15%。
・乳児や小児では参照図を見ること。
□熱傷の臨床経過の特徴
●急性期(受傷直後〜36時間程度)
・血管透過性が亢進による体液流出が起こり、循環血液量減少、心拍出量が低下、ショックを呈する(熱傷性ショック)。末梢血管抵抗は上昇する。血液は濃縮され、ヘマトクリット値は上昇しうるが、出血、赤血球寿命の短縮により最終的に貧血を呈する。
・ショックの治療には大量輸液が必要(下記)だが、そのための希釈と肺での血小板凝集がおこり早期に血小板減少を生じる。凝固系も線溶系も亢進しDICを発症しうる。
・浮腫のピークは24〜48時間であり、その後徐々に改善していく。
・呼吸器合併症も危険。肺水腫、気道熱傷、有毒ガス吸入などが呼吸障害の主な原因。
・気道熱傷による上気道の閉塞は受傷後数時間以内に急速に進行するため、早期の気管挿管が必要になることが多い。下気道損傷による酸素化障害は6〜8時間後以降に生じる。
・早期の気管切開は気道狭窄を高率に引き起こすため、原則行わない。
●亜急性期(受傷後2日〜6日ごろ)
・血管透過性の改善や浮腫からの再吸収で循環血液量が増加する。
・心拍出量は増加するが、心不全や肺水腫を起こしうる。
・全身性炎症反応症候群(SIRS)の状態。
・気道熱傷や肺炎を合併すれば、呼吸状態がさらに悪化する。
・体温の維持のため環境温にも気をつける。
●慢性期(受傷後7日以降)
・肺炎やARDS、敗血症や多臓器不全を発症しうる。
・低栄養や瘢痕・拘縮による機能障害なども生じる。
・精神面への配慮も必要になってくる。
□臨床経過に応じた治療のポイント(詳細は次)
●急性期
・酸素投与、気道確保
・大量輸液、ショックの治療
・減張切開や超早期の植皮術、デブリ
・体温管理
●亜急性期
・呼吸管理
・輸液
・植皮(ここで最も関わりますね)
・感染対策
・栄養管理
・精神面
●慢性期
・呼吸管理
・感染対策
・栄養管理
・機能的な問題(瘢痕・拘縮)
・精神面
□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p637-644
2)合併症麻酔のスタンダード p233-238
3)SICUpearls p137
4)麻酔科エラーブック p33-37
5)麻酔科シークレット第2版 p383-388
6)麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集 各年度
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