45回麻酔科専門医試験：口頭試問 症例10

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55歳男性。身長160cm、体重75kg。早期胃癌に対して胃切除術が予定された。拡張型心筋症を合併しており、術前心エコー図検査では左室駆出率は25%であった。血清クレアチニンは1.8mg/dlであった。

質問

１）術前管理と評価
①この患者の術前管理における問題点を列挙してください。
②術前に必要な検査を挙げてください。
２）麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択しその理由を説明してください。
②麻酔導入はどのように行いますか？具体的に述べてください。
③術中に必要とされるモニタリングの選択とその理由を述べてください。
④本性例での硬膜外麻酔の使用法について述べてください。
３）術後管理
①術後鎮痛と術後注意すべきことを述べてください。





１）術前管理と評価
①この患者の術前管理における問題点を列挙してください。
・拡張型心筋症⇒心収縮力の著明な低下
・腎機能障害
・軽度肥満
②術前に必要な検査を挙げてください。
・心エコー（済）
・一般検査（採血、BNP、レントゲンなど）
・スパイロ
・クレアチニンクリアランス
・虚血を伴うことがあるので、できればCAG
・ホルター心電図（不整脈チェック）
など
２）麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択しその理由を説明してください。
・硬膜外麻酔併用の全身麻酔（プロポフォール、フェンタニルのTIVA）
しっかりとした鎮痛で内因性カテコラミン放出を抑え、後負荷も軽減。
②麻酔導入はどのように行いますか？具体的に述べてください。
・導入前に動脈ライン留置
・ミダゾラム、ロクロニウム、フェンタニルで導入。
③術中に必要とされるモニタリングの選択とその理由を述べてください。
・一般モニター
・動脈ライン＋中心静脈カテーテル（肺動脈カテーテル）　※フロートラックとプリセップ
・経食道心エコーも入れたいところだが、胃切除術のため使用は限られる。
・上記モニターを使用し前負荷（輸液）の管理や心収縮力をある程度モニターできす。
④本性例での硬膜外麻酔の使用法について述べてください。
・術中から使用するのであれば、0.375%ロピバカインとフェンタニルを使用。
・術中はフェンタニルまたはレミフェンタニルで管理し、術後に硬膜外麻酔を使用するのであれば、0.2%ロピバカイン100mlあたり400~600μg使用し持続で用いる。
３）術後管理
①術後鎮痛と術後注意すべきことを述べてください。
・鎮痛は上記
・術後は心不全の発生に留意する。疼痛管理を十分に行い、心収縮力が低下するようであればカテコラミンやPDEⅢ阻害薬を使用する。