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2012年2月27日月曜日

50回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例7-1


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22歳の女性。身長162cm、体重74kg。右聴神経鞘腫に対して後頭下開頭摘
出術が予定された。生来健康で、喫煙歴はなく、飲酒はつきあい程度である。
子供の頃から乗り物酔いが強い。脳外科医から、術中に顔面神経刺激によ
る電気生理学的検査を行うので支障のないよう全身麻酔を管理してほしい、
覚醒直後に神経学的所見を確認するため手術終了後すみやかに覚醒させ
てほしい、との希望が伝えられた。
質問
1) 術前評価
①本症例の問題点を列挙して下さい。
②本症例であてはまる術後の嘔気嘔吐PONV の危険因子を挙げて下さい。
③術後にPONV が起こる危険性はどれくらいであるか説明して下さい。
2) 麻酔管理
①ここまでの術前評価から、本症例に適切な全身麻酔計画を具体的に説明
して下さい。
②顕微鏡下手術中、電気刺激を開始したところ体動が生じました。手術遂行
と安全確保の観点から、どのように対応しますか。
③長時間の脳外科手術において、術後すみやかな覚醒を得て抜管するた
めの工夫を説明して下さい。
3) 緊急対応
①覚醒・抜管の10 分後からシバリングが出現しました。対処方法を具体的に
説明して下さい。(予防法も可)。

1)術前評価
①問題点列挙
・肥満
・乗り物酔いが強い⇒PONVの発生注意
・筋弛緩は使用しにくく、かつ麻酔が深すぎると覚醒が遅れるのでバランスが重要
・BISモニタ
②PONVの危険因子
・女性
・乗り物酔いが強い
・非喫煙者
・脳外科手術
(・長時間手術)
(・PONVの既往)
(・オピオイド、亜酸化窒素、揮発性麻酔薬、ネオスチグミン)
(・手術:斜視、腹部、乳房、耳鼻科、脳外科、腹腔鏡手術) 
③術後にPONVの起こる危険性の程度
危険因子が0個、1,2,3,4個あると、10、20、40、60、80%なると言われている。ただしエビデンスレベルは高くない。この患者では4つあるため80%とかなりの高率で起こる可能性がある。
2)麻酔計画詳細
①主な合併症は肥満、PONVの発生頻度が高いということ。麻酔は気管挿管による全身麻酔。
麻酔薬の選択はPONVの発生率を考慮してプロポフォール+レミフェンタニルによるTIVAとする。術中顔面神経刺激のため筋弛緩薬の使用は気管挿管前のみにとどめ、術後の速やかな覚醒が要請されていることから、術中はBISモニターを使用し必要十分な麻酔を心がける。
薬物的な予防に関しては、十分な輸液やセロトニン拮抗薬やメトクロプラミド、デキサメタゾンやドロペリドールなどが知られているが、保険適用を考えると少し多めの輸液(脳外科手術のためあまり多量には入れられないだろうが)を行い、手術終了時にプロクロルペラジン(ノバミン®)の投与、PONVが発生すればメトクロプラミドを使用するということになるでしょうか。(参考:PONV対策と麻酔 www.maruishi-pharm.co.jp/med/libraries_ane/anet/.../24practice.pdf)
②体動時の対応
・手術を中断してもらう。
・気管チューブの脱落を確認と同時に点滴が確実に落ちているかを確認(TIVAのため)
・BISを確認し、点滴が生きていて、他にトラブルがないことを確認したのちに(つまり、体動は浅麻酔のためであったことが確認できれば)プロポフォールの血中濃度設定を上げて様子を見る。
③長時間脳外科手術後のすみやかな覚醒〜抜管への工夫
・術中麻酔薬濃度を必要最小限にする(浅麻酔にするわけではなく、不必要に深い麻酔にしない。その分鎮痛はしっかりと)。BISモニターを一つの指標とする。
・ ヘッドピン固定解除に向けて静脈麻酔薬濃度は下げておく。鎮痛はまだしっかりとしておく。・・・・ぐらいでしょうか?他に何か有効な手段があれば教えて下さい・・・

3)緊急対応
①シバリングの予防と対処
・術中の保温(温風式加温装置の使用、温かい輸液、室温を過度に下げない)
・マグネシウムも有効なようですが・・・・
・レミフェンタニルを多量に用いない・・・?
・発生すれば加温しつつペチジン0.5~2mg/kg程度投与し様子を見る。

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