さらりーまん麻酔科医の専門医試験対策ページです。これからもよりよい対策資料を作っていきたいと思っています。 何かご相談などあればいつでもメールください。 ※ブログ引っ越しました。
2012年2月19日日曜日
50回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例4−2
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73歳の男性。身長 169 cm、体重 50 ㎏。胃癌に対して胃亜全摘が予定さ
れた。脳梗塞の既往があり、右片麻痺が残っている。高血圧、徐脈頻脈症候
群でペースメーカーを挿入されている。抗血小板薬ジピリダモールと抗凝固
薬ワルファリンを服用し、PT-INR 2.0 。術前に超音波検査で下腿の深部静
脈に血栓を認めた.
質問
1) 術前評価
①術前評価をして下さい。また、ASA分類はいくつですか。
②術前管理で服用している薬剤の管理はどうしますか。
2) 術中管理
①APTTが正常となり、静脈麻酔による全身麻酔が予定されました。患者さん
のペースメーカーはDDDタイプということです。DDDとは何ですか。
②ペースメーカーの入った患者さんの対応について述べて下さい。
③開腹して20 分後に低血圧をきたしました。術野に出血は認めていません。
原因は何を考えますか。また、その対処法はどうしますか
3)危機管理
①術後肺血栓塞栓症のリスクが高いと予測されますが、この患者さんに対し
てどのような予防法がよいと考えますか。
②術後疼痛に対し、患者管理鎮痛法PCA として、硬膜外投与法(PCEA)に
比較して、静脈投与法(IV-PCA)の特徴を利点と欠点に分けて述べて下さ
い。
4) 接遇問題
術後、IV-PCA を行うにあたり、あなた(受験者)が患者さんの佐藤太郎さん
に説明することになりました。佐藤さんがすでに部屋で待っていて、その部屋
に入っていくところから始まります。では、始めて下さい。
<解答例>
1)術前評価
①術前評価。ASA分類
問題点:脳梗塞の既往で右肩麻痺あり⇒術中の灌流圧維持
高血圧
徐脈頻脈症候群でペースメーカー挿入(重症加算):プログラム変更必要
抗血小板薬+抗凝固薬内服でPT-INR2.0⇒中止しヘパリンへの変更。
下肢深部静脈血栓あり、肺塞栓症のリスクあり。
ASA-PS分類:3 麻酔法:全身麻酔単独(術後鎮痛はIV-PCA)
②薬剤管理
ワルファリンは術前5日前程度に中止、ジピリダモールは24時間前に中止。
ヘパリン持続静注等に切替(一日10,000単位ほど)。APTTを対照の1.5〜2.5程度に維持。手術開始6時間程前に中止。
2)術中管理
①DDDとは?
心房心室両方で感知と刺激を行い、反応も同期と抑制の両方が可能なタイプのペースメーカプログラムのこと。
②ペースメーカー患者への対応
・ペースメーカーの発火にモニターのフィルターが引っかかるものではフィルターを解除
・モノポーラ電気メスを使用する場合はペースメーカー業者に依頼し、非同期モード(VOOなど)に変更しておく。使用は最小時間、少なくとも15cmは離す
・・・・などでよいでしょうか?
③開腹後の低血圧(出血なし)
・腸間膜牽引症候群:昇圧剤、輸液で対応
・DVTによる肺塞栓:TEEで評価⇒手術中断、バイタル安定のための輸液・昇圧剤 応援を呼ぶ
・ペースメーカー不全で徐脈による低血圧:手術中断し経皮ペーシングorペーシングワイヤー挿入。
・・・・などでしょうか?
3)危機管理
①肺塞栓予防法
すでに血栓が存在しているので、術前の下大静脈フィルターを留置や、術後止血確認後ヘパリンの使用が考えられる。あと早期離床を促すためにしっかりとした鎮痛。
②IV-PCAの利点と欠点(PCEAと比べて)
利点:PCEAに比べて血圧の変動が少ない。硬膜外血腫・膿瘍・神経損傷のリスクがない
欠点:体動時の痛みに対してはPCEAの方が優れる。離床もPCEAの方が早い。
・・・他にあればよろしくお願いします。
4)接遇問題
①IV-PCAの説明
・自己紹介
・相手の確認
・開腹術後の痛みは強いので、点滴から痛み止めを持続的に注入する。
・痛みが強く我慢出来ないときには、患者さん自身で薬剤を投与できる装置がある。
・大量に投与できないように、ロックアウトタイムが設定されている。
・わからないことを質問。
以上をわかりやすい自分の言葉で。
・・・などでしょうか。
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