さらりーまん麻酔科医の専門医試験対策ページです。これからもよりよい対策資料を作っていきたいと思っています。 何かご相談などあればいつでもメールください。 ※ブログ引っ越しました。
2012年5月23日水曜日
まとめ:臓器摘出術(脳死患者)
□手術の順番
1.開胸(胸骨正中切開)+開腹
2.上行大動脈、腹部大動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、門脈に灌流用カテーテル挿入。
3.大動脈・上大静脈を遮断し、臓器灌流開始。
4.下大静脈から脱血開始。心筋保護液を注入後心停止。
5.麻酔科医の呼吸・循環管理は終了。
6.心臓⇒肺⇒肝臟⇒膵臓・脾臓⇒小腸⇒腎臓の順番に摘出。終了。
□麻酔管理の注意点
・脳死患者でも脊髄反射は残存しており、外科的刺激に伴い血圧上昇や頻脈の発生や体動が生じる場合がある。そのため静脈麻酔薬はオピオイド、筋弛緩薬が用いられることがある。
・脳死患者では迷走神経機能が喪失しているため、徐脈に対してアトロピンは無効。徐脈や血圧低下に対しては、イソプロテレノールやカテコラミンが使用される。
・脳死患者では脳圧亢進により高血圧、徐脈(Cushing現象)や神経原性肺水腫を起こす可能性があるため、マンニトールなどで治療する。
・出血や脱水(利尿薬や尿崩症)によりショックに陥ることがあるため注意。
・血圧維持にはカテコラミン投与や輸液で対応。ノルアドレナリンは血管収縮により肝腎血流の低下を起こす可能性があるため、原則用いない。
・電解質は適宜補正する。
・高血糖には適宜インスリン投与。
・脳死により体温調節機能が失われているため低体温になりやすい。臓器摘出までは35度以上に保つように加温する。
□呼吸・循環管理の目標値
※本により値が微妙に異なりますが・・・無難な値ということですね。
・収縮期血圧90mmHg(平均血圧60mmHg以上)
・CVP 6−10mmHg
・心拍数80−100回/分
・尿量 0.5〜3ml/kg/h (維持できない場合は輸液と利尿薬)
・血糖値150mg/dl以下
・Ht30%、Hb10g/dl以上
・PaO2 70-100mmHg
・PaCO2 30−35mmHg
・SaO2 95%以上
・pH 7.35-7.45
・体温 35.5-36.5℃ など
□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p388
2)手術別麻酔クイックメモ p178-179
3)麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集
4)麻酔科学スタンダードⅡ p335
5)脳死後の臓器提供の施行に関する手順書 国立循環器病研究センター 臓器・組織提供対策室
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