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2012年4月18日水曜日

まとめ:TUR関連の合併症の総まとめ②


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TUR症候群とは
・前立腺切除時(や子宮鏡手術時)に、開口した静脈洞から灌流液が過剰に血管内に吸収されることに起因する、神経学的、心血管系にさまざまな影響を起こす症候群。術後も遅発性に、腹膜内外に漏れ出ていた灌流液が吸収されることにより起こることがある。
・本態は希釈性低Na血症と低浸透圧による脳や肺をはじめとするさまざまな組織の浮腫、循環血液量増加である。灌流液の吸収スピードは50ml/mim以上に達するとする方向もある。Naの絶対値だけでなく、低下速度が早いほど症状が起こりやすい。
・TURを受ける患者は高齢者が多く、心血管系の合併症を抱えていることが多いため、循環血液量増大に耐えられず、心不全を起こしやすい。
TUR症候群の3徴
①収縮期および拡張期血圧の上昇と脈圧増大(循環血液量増大による)
②徐脈
③精神神経症状



TUR症候群を起こしやすい条件
・灌流液の静水圧が高い(患者と灌流液の高低差が大きい)こと。
高低差を60〜70cm未満にするべきである。
手術時間1〜2時間以上。長ければ長いほど灌流液の吸収が多くなる。できれば1時間以内に終えてもらう。
・膀胱の緊満⇒適宜灌流液を抜く
前立腺が大きい(45gを超えるもの)⇒時間がかかる、開口する静脈洞も多い⇒吸収量が多くなる

TUR症候群の症状・徴候
中枢神経系の症状
悪心、嘔吐、錯乱、視覚障害、痙攣、昏睡など。
・Naが120mEq/l程度で落ち着きがなくなり、115前後になると傾眠傾向や悪心、110程度になると痙攣や昏睡を起こす(あくまで目安)
・低Na血症自体の症状、低浸透圧による脳浮腫などによる
心血管系、呼吸器系の症状
高血圧、低血圧、徐脈、各種不整脈、肺水腫、心停止など。重症になると心収縮力低下で血圧低下、wideQRS、心室性不整脈に続いてうっ血性心不全や肺水腫を引き起こす。
・体内での水分の移動と、電解質異常に続発。灌流液吸収に伴い最初に循環血液量の増大が起こり、その後間質へ再分布していく。

TUR症候群の治療
・まずは術者に異常を知らせ、可及的速やかに手術を終了してもらう。
・灌流液を生理食塩水に変更する。
採血し、血液ガス、血算、生化(電解質)、凝固系、浸透圧を測定する。
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・血清Naが120mEq/l以上のときは水制限(+少量フロセミド)
・120以下のときは、フロセミド5〜20mgに加えて高張食塩水の投与を考慮する(高張食塩水の投与は慎重な意見もある)。
適宜追加採血を行い厳重に経過を管理する。

・痙攣に対してはジアゼパムやミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬物で対応。
必要なら人工呼吸管理を。
・循環動態に維持に努める(適宜循環作動薬)。不安定な場合は動脈ラインや中心静脈ライン(場合によりPAカテーテル)を留置する。
Naの補正について
・急速な補正は小脳橋部の脱髄変性を起こすため、高張食塩水による補正は、意識状態、Na濃度の厳重な監視下で行う。
・高張食塩水の投与は100ml/h以内の速度とし、1日の補正速度が12mEq/l以上にならないようにする。また、120以上に回復してくれば中止する。
・浸透圧がそれほど低くなく、循環血液量増大により心負荷がかかっている状態での高張食塩水投与はさらなる容量負荷を来す可能性があるため慎重に。
・管理は集中治療室でね。


膀胱穿孔について
・電気メスによる直接損傷と過膨張による損傷によるものがある。
・閉鎖神経ブロックが不十分であったりすると非常に危ない
腹膜外穿孔と腹膜内穿孔とがあるが、前者がほとんど
腹膜外の場合
・下腹部(恥骨上部)の膨満感、鼠径部、臍周囲の痛みなどが生じる。他覚所見としては灌流液の戻りが悪い、などがある。
腹膜内の場合
・上腹部痛や肩への放散痛などの腹膜刺激症状、腹部膨満感。痛み以外では顔面蒼白、悪心・嘔吐、血圧上昇、頻拍などが出現。最終的に循環虚脱を起こすこともある。
・治療はドレナージ。穿孔部が大きければ開腹して縫縮する場合もある。
・麻酔高が高いと(T10以上)、腹膜内穿孔に気づくのが遅れる場合がある。





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